アパートの屋根塗装を検討し始めると、「一棟でいくらかかるのか」「戸建てより高いのか」と気になる方が多いのではないでしょうか。屋根は普段目に入りにくく、劣化に気づいたときには雨漏りが進んでいた、というご相談も少なくありません。
アパートの屋根塗装費用は、屋根の面積と形状でおおよそが決まります。目安は一棟あたり数十万円台から、大型物件では200万円を超える例も見られるほど幅広いです。まずは規模ごとの相場をつかみ、外壁との同時施工や相見積もりで総額を抑える判断軸を持ちましょう。それが賃貸経営の無駄な出費を防ぐ第一歩になるはずです。
この記事では、アパート屋根塗装の相場と内訳、屋根タイプ別の違い、費用を抑える進め方、そしてオーナーならではの会計・入居対応まで、中立的な視点で整理していきます。
アパート屋根塗装の費用相場|戸数・棟の規模別の目安
アパートの屋根塗装費用は、戸数よりも屋根の総面積で大きく変わります。ワンルーム中心の小規模アパートと、ファミリータイプの大型物件では、同じ「屋根塗装」でも総額が数倍違うことも珍しくありません。まずは規模別のおおよその目安を押さえましょう。
| 規模 | 屋根面積の目安 | 費用の目安 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 小規模(4〜6戸) | 約60〜100㎡ | 40〜80万円 (相場データ) |
業界相場の目安データ |
| 中規模(8〜12戸) | 約100〜160㎡ | 70〜130万円 (相場データ) |
業界相場の目安データ |
| 大規模(16戸以上) | 約200㎡以上 | 120万円以上 (相場データ) |
業界相場の目安データ |
※屋根塗装単独の目安。外壁同時施工・下地補修の有無で変動します(出典:業界一般の施工相場データ、2026年時点)。
戸数・棟の規模別のおおよその総額
一般的な木造・軽量鉄骨アパートでは、屋根塗装単独で数十万円台から始まり、規模が大きいほど総額は上向きます。屋根と外壁をあわせた大規模物件の塗装事例では、相場として200〜300万円程度(施工事例データより/2026年時点)が示されることもあります。実際、千葉県内のアパート外壁塗装を紹介する施工事例の動画でも、この価格帯が一つの目安として解説されていました。
ただし、これはあくまで一例です。屋根の勾配や劣化状況、下地補修の量によって金額は前後します。数十万円単位で差が出るため、規模の近い施工実績を持つ業者に見積もりを依頼するのが確実でしょう。
屋根面積(㎡)で費用が決まる理由
屋根塗装の費用は、塗る面積に㎡単価を掛けて算出するのが基本です。アパートは戸数が多いほど建物が大きく、屋根面積も広くなります。だからこそ、戸建てより一棟あたりの金額が高くなりやすいのです。
㎡単価には、塗料代だけでなく下地処理や職人の手間も含まれます。「戸数割りで安くなる」とは限らない点にご注意ください。むしろ形状が複雑な屋根ほど、手間の分だけ単価が上がる場合もあります。
一戸建てより高くなりやすい要因
アパートの屋根が戸建てより高額になりやすいのは、面積の広さに加えて次の要因があるためです。
- 屋根面積が広く、塗料と足場の量が増える
- 入居者への配慮で工期・工程の管理が必要になる
- 陸屋根の場合は塗装ではなく防水工事が中心になる
これらを踏まえると、戸建て感覚の相場をそのまま当てはめるのは危険です。物件に合った見積もりを取ること。それが適正価格を見極める前提になります。
屋根塗装の費用の内訳|塗料・足場・下地補修で何にいくらか
見積書の総額だけでは、その金額が妥当かどうかは判断できません。屋根塗装の費用は塗料代・足場代・下地補修という要素に分かれます。内訳を把握しておけば、複数社の見積もりを同じ基準で比べられます。
塗料代とグレード別の耐用年数の目安
塗料は、グレードが上がるほど単価も耐用年数も高くなります。一般的な期待耐用年数の目安は、アクリルで5〜7年、シリコンで10〜13年、フッ素で15〜20年とされています(出典:各塗料メーカー公表の耐用年数データ、2026年時点)。
賃貸経営では、塗り替えの回数が減るほど長期の負担が軽くなる傾向があります。初期費用の安さだけで選ぶと、結果的に塗り替え頻度が増えて割高になることも。耐用年数とのバランスで検討することをおすすめします。
足場代が総額に占める割合
足場代は、屋根塗装の総額のおおよそ2割前後を占める大きな費用です。屋根は高所作業のため、安全に施工するには足場の設置が欠かせません。
この足場代は、屋根と外壁で同じ足場を共用できるという特徴を持ちます。屋根だけを単独で塗ると、この足場代を屋根のためだけに負担する形になってしまいます。足場の考え方は屋根足場の費用でも詳しく整理しました。
下地補修・縁切り・防水にかかる費用
塗装の前には、ひび割れの補修やサビ落とし(ケレン作業)などの下地処理が必要です。ケレン作業とは、古い塗膜やサビを削り取る下地処理のことで、塗装の持ちを大きく左右します。
スレート屋根では、塗膜で塞がった隙間を切り開く「縁切り」も欠かせません。陸屋根では防水層の補修が加わります。これらの費用は劣化状況で変わるため、現地調査を踏まえた見積もりが前提です。
アパートの屋根タイプ別の費用差|勾配屋根・陸屋根・折板
アパートの屋根は、傾斜のある勾配屋根、平らな陸屋根、工場や倉庫でよく見る折板屋根に分かれます。同じ「屋根塗装」でも、塗装で足りるか防水が必要かでコストが変わるため、自分の物件がどのタイプかを確認しましょう。
スレート・金属の勾配屋根
塗装によるメンテナンスが基本。下地処理と縁切りが重要
色あせ・コケ・チョーキング
標準的(塗装が中心)
陸屋根(平らな屋根)
塗装より防水工事が中心。ウレタン防水・シート防水など
防水層のひび・水たまり・雨漏り
防水工法により変動
折板・トタン屋根
サビ対策が最優先。ケレンと錆止め塗装が要
サビ・穴あき・雨漏り
サビ進行度で増減
※屋根の形状・劣化状況により工事内容と費用は変わります。現地調査を踏まえた見積もりが前提です。
スレート・金属など勾配屋根の場合
傾斜のある勾配屋根は、塗装によるメンテナンスが基本です。スレートや金属屋根は、色あせやコケの発生が塗り替えのサインになります。塩害の影響を受けやすい海沿いエリアでは、サビ対策も重要な確認ポイントです。
陸屋根は塗装より防水が中心になる
平らな陸屋根は、塗装ではなく防水工事が中心です。ウレタン防水やシート防水など工法が分かれ、費用も塗装とは体系が異なります。「屋根塗装」で見積もりを取ったつもりが防水工事だった、という食い違いを避けるため、屋根の形状を業者に正しく伝えてください。
折板屋根・トタン屋根の錆対策
折板屋根やトタン屋根は金属製のため、サビ対策が最優先です。サビを放置すると穴あきや雨漏りにつながるため、早めのケレンと錆止め塗装を心がけましょう。折板屋根の詳しい費用は折板屋根の塗装費用もあわせてご覧ください。
外壁塗装と同時に行うと足場代を1回にまとめられる
屋根と外壁は同じ足場を使うため、別々に発注すると足場代を二重に払うことになりがちです。屋根単独ではなく外壁塗装と同時に計画することで、総額を抑えやすくなります。これは戸建てでもアパートでも共通する、費用面の大きな判断軸です。
別々に発注した場合
足場代を2回負担
同時に発注した場合
足場代は1回で済む
※足場代は総額の2割前後が目安。屋根と外壁の塗り替え時期が近いほど、同時施工のメリットは大きくなります。
足場代は総額の2割前後が目安
前述のとおり、足場代は総額の2割前後を占めます。屋根と外壁の塗り替え時期が近いなら、足場を一度で済ませるメリットは見逃せません。数年ずらして二度足場を組むより、まとめたほうが合理的なケースが多いのです。
屋根・外壁の同時施工で減らせる費用
同時施工では、足場の設置・解体が一度で済むほか、現地調査や近隣挨拶といった付随作業もまとめられます。工事全体の管理も一本化されるため、オーナーの手間も軽くなるでしょう。アパートの外壁側の費用感はアパート外壁塗装の費用で確認できます。
工期をまとめる際の入居者への配慮
工期を一度にまとめる場合、その期間は足場や養生で入居者の生活に影響が出ます。洗濯物が干せない、窓が開けにくいといった不便が生じるため、事前告知と作業時間への配慮が欠かせません。同時施工のメリットと、入居者への負担のバランスを見て計画しましょう。
アパート屋根塗装で費用を抑える進め方|相見積もりと業者選び
同じ工事でも、依頼先や発注ルートで金額は変わります。適正価格を見極める基本は、複数社からの相見積もりです。内訳と条件を並べて比較すれば、高すぎる見積もりも、安すぎて不安な見積もりも見えてきます。
※チェックが多いほど安心の目安。極端に安い見積もりや契約を急がせる営業には注意しましょう。
相見積もりは2〜3社で内訳を比較する
見積もりは2〜3社から取り、総額だけでなく内訳を比べることが大切です。「一式」表記ばかりで塗料名や面積が書かれていない見積もりは、後の追加請求につながることも。同じ条件で比較できる詳細見積もりを出す業者を選びましょう。
元請け・下請けと中間マージンの仕組み
工事を仲介会社経由で頼むと、中間マージンが上乗せされる場合があります。オーナー向けの解説動画でも、直接施工の会社に依頼することで中間マージンを抑えられる、という考え方が紹介されていました。ただし自社施工にも品質差はあるため、価格だけでなく実績や保証もあわせて確認してください。
極端な値引きや不安をあおる営業への注意
「今すぐ契約すれば大幅割引」といった、契約を急がせる営業には注意が必要です。相場の半額以下といった極端に安い見積もりは、手抜き工事や追加請求のリスクをはらみます。訪問販売による住宅リフォームは、独立行政法人国民生活センターにも相談が寄せられている分野です。契約前にはクーリングオフ制度の説明があるかも確かめておきましょう。
オーナーが押さえる会計と入居対応|修繕費の考え方と告知
アパートの屋根塗装は、賃貸経営上の支出として会計処理や入居者対応も関わります。工事費用の扱いは物件や工事内容で異なるため、判断に迷う場合は税理士など専門家への確認をおすすめします。
修繕費と資本的支出の一般的な考え方
現状回復にあたる塗り替えは修繕費、建物の価値や性能を大きく高める工事は資本的支出として扱われるのが一般的です。どちらに該当するかで、経費計上のしかたが変わってきます。賃貸経営の修繕費を扱う解説でも、こうした区分の考え方が取り上げられていました。個別の判断は、必ず税理士に相談することが安心につながります。
入居者への工事告知と騒音・臭気への配慮
屋根塗装では、高圧洗浄の音や塗料の臭気が発生します。入居者とのトラブルを避けるため、工事日程の事前告知と作業時間への配慮が欠かせません。掲示や書面での告知方法を、あらかじめ業者と相談しておくと安心でしょう。近隣住民への挨拶回りも忘れないようにしてください。
火災保険が使えるケースの確認
経年劣化による塗り替えは、火災保険の対象外が一般的です。ただし台風や飛来物などで屋根が破損した場合は、補償対象になることもあります。被害があれば、加入中の保険内容を確認し、早めに保険会社へ相談してください。保証やアフター対応の考え方は外壁塗装の保証も参考になります。
まとめ|規模と屋根タイプを押さえ、外壁と同時に計画する
アパートの屋根塗装費用は、屋根の面積と形状で大きく変わり、規模の大きい物件ほど総額は上向きます。要点を振り返っておきましょう。
- 費用は戸数より屋根の総面積で決まり、内訳(塗料・足場・下地補修)で妥当性を判断する
- 勾配屋根は塗装、陸屋根は防水が中心と、屋根タイプで工事内容が変わる
- 外壁塗装と時期を合わせれば、総額の2割前後を占める足場代を1回にまとめられる
- 適正価格の見極めは2〜3社の相見積もりが基本。極端に安い見積もりや契約を急がせる営業には注意する
工事業者を選ぶ際は、国土交通省が定める建設業許可の有無も、信頼性を測る一つの目安になります。後悔しない外装リフォームのために、中立的な情報をもとに、ご自身の物件に合った判断を重ねていきましょう。
よくある質問(FAQ)
アパートの屋根だけを塗装で頼めますか?
屋根単独でも依頼できますが、足場を新たに組む必要があるため割高になりがちです。外壁塗装の時期が近い場合は、同時施工で足場代を1回にまとめると総額を抑えやすくなります。
アパートの屋根塗装はどれくらいの周期で必要ですか?
屋根材や塗料のグレード、立地により異なりますが、一般的には10年前後が塗り替えの目安とされます。色あせやサビ、コケの発生などの劣化サインが出たら、点検を検討しましょう。
入居者がいる状態でも工事できますか?
居住中でも施工は可能です。ただし足場設置や高圧洗浄で騒音・臭気が出るため、事前の工事告知や作業時間への配慮が欠かせません。トラブルを避けるうえで、業者と告知方法を相談しておくと安心です。
屋根塗装の費用は経費にできますか?
現状回復にあたる塗り替えは修繕費、性能を大きく高める工事は資本的支出として扱われるのが一般的です。物件や工事内容で判断が分かれるため、税理士など専門家に確認することをおすすめします。
火災保険は屋根塗装に使えますか?
経年劣化による塗り替えは対象外が一般的ですが、台風や飛来物などによる破損の修理は補償対象になる場合があります。加入中の保険の内容を確認し、被害があれば早めに保険会社へ相談してください。
外壁・屋根の劣化が気になったら
診断・現地調査・お見積もりまで無料
「費用を知りたい」「うちはまだ大丈夫?」など、判断に迷ったときの確認からお気軽に。しつこい営業はありません。
対応エリア:船橋市・市川市・市原市・千葉市ほか千葉県北西部/東京23区・西東京